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秋季刀剣鑑賞会のご案内

さわやかな秋晴で、気温も最高気温が21度と、過ごしやすい日和となった10月25日)、当支部では本部より大井 岳講師をお迎えし、屋島の麓、高松テルサにおいて、秋の鑑賞会を開催致しました。
初めに初心者講座として、日本刀製作(日本刀の心と技)のビデオ鑑賞となり、一本の日本刀が完成するまでには、良い材料、経験が必要な各工程の技、体力及び忍耐力などが如何に要求されるか、少ですが理解できたと思っています。
次に十月号「刀剣美術」の誌上鑑定刀を語らい、製作時代はすぐに判明しましたが、三尺二寸弱と長く、黒みかがった地鉄のため迷いましたが、地斑映りから古一文字、古青江、古備前の中から、総じて古雅であると、とその他ヒントにて古備前の個名に絞り込むことが出来ました。
 昼食を済ませ、少し早めの十二時三十分より、協会本部よりご持参の五振りの鑑定刀による三本入札に入りました。
入札では、いつも聞こえてくる、「わからないな」、「難しいな」、「う~ん」との声もなく、静かな雰囲気で行われましたが、それぞれ時間が許す限り何回も鑑賞していて十分皆さん楽しんでいたように思います。

鑑定刀は次の五振りでした。
 一号刀は 刀 尻懸則長



身幅広め、元先の幅差あまり開かず、深い反り具合ながらも腰反りの力強さが足らず、大磨りあげ鎌倉末期の太刀姿で、鎬幅広め、鎬筋もやや高く、重ねの厚い堅固な造り込み、地鉄は板目に処々流れ肌交じり、地沸微塵に厚くつき、刃は中直刃調に小互の目・小のたれ交じり、沸厚く、金筋・沸筋・砂流しかかり、処々刃緑ほつれ、湯走り・二重刃風のなどかかる、帽子は焼詰めた大和物。

 二号刀は 刀 藤原広実(堀川)





身幅広く、元先の幅差があまり目立たなく、中鋒が延び、反りは浅く、腰元での踏ん張りがある慶長期に見られる体配で、地鉄は板目に杢を交え、肌立ち、地沸厚くつき、区際より水影立ち、刃は浅い湾れに互の目を交え、足入り、沸よくつき、金筋かかり堀川国広に似る。

 三号刀は 短刀 直江志津兼友







身幅が広く、寸が延び、重ねが薄く、反りが浅くついた南北朝中期の姿で、地鉄は、板目肌、刃寄り強く流れ柾がかり、肌立ち、地景入る、刃はのたれに丸い互の目交じり、匂い口やや深く、小沸よくつき、砂流しかかる直江志津の短刀。

 四号刀は 刀 大慶直胤


身幅が広く、元先の幅差があまり開かず、大きく延びた鋒に結び、反りのやや高い、南北朝期の太刀姿で、地鉄は、小板目つむも、無地風となり、地沸よくつき、地景細かに入り、乱れ映り立つ、刃は角張る互の目を基調に、尖り刃・片落ち互の目を交え、足よく入り、総体に逆がかり、匂い勝ちに小沸つく、帽子は乱れ込み、先鋭く尖って返る、備前兼光写し。

 五号刀は 刀 備前長船祐定


身幅やや広く元先の幅差があまり開かず、上半に先反りつき、中鋒に結んで体配は室町後期の打刀姿で、地鉄は小板目よくつみ、地沸微塵に厚くつき、地景細かに入り、映り立つ、刃は腰開き互の目に互の目・丁子風の刃などを交え、足・葉入り・小沸よくつき、明るく冴え、金筋・砂流し細かにかかった末備前刀。

 成績上位者は次の各氏です。

 天位  東畑廣義 地位  大塚勝士  人位  小林昭等 川股賢司

入札鑑定後、大井 岳講師により鑑定刀の時代の捕え所、特徴、見所などを、詳しく解説していただきました。
分かりやすい親切丁寧なご説明のお礼申し上げると共に今後とも宜しくご指導お願い申し上げます。
 今回持参された五振りの鑑定刀も、書籍で拝見した重要美術品の短刀、大和伝の特別重要刀剣を含む、普段手にする事の出来ないお刀で、一同大変喜んでいました。
 十月十日より、去年日本刀の展示会を行った丸亀市立資料館にて、ニッカリ青江を(オンラインゲーム刀剣乱舞の等身大キャラクターもあり)展示している『京極家の家宝展』に、若い刀剣女子が来館され、当会員理事と知り合い、当支部へ入会したいとの事で、今回の鑑賞会に午後から出席、会場も華やかになり喜ばしい出来事となりました。
次回、来年二月十四日の鑑賞会にも出席したいとの希望で、今後長く続いてくれればと期待すると共に、もっと興味がわくように指導出来ればと思っています。
会員参加人員は、二十名弱で少し寂しい気はしましたが、一同十分満足して午後三時半散会致しました。

                                                                              しこくさぬきしぶ会員 東畑廣義