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                            12月研究会                   

 本日、11月26日『讃岐支部』今年最後の勉強会が支部長宅にて行われました。
参加者は、13名。個人宅において行われたので、これだけの人数が集まりますと、大賑わいです!しかも、13時から開催されたのですが、後から来る人来る人が、次々に名刀をお持ちになるので、嬉しい悲鳴をあげました。

                
              本日の鑑賞刀は次の通りです。
          @無銘 兼則 刀(美濃)       A加賀守藤原貞広 脇差(越前関)
          B武州住康重 脇差(下原)     C信国 脇差(応永)         
          D備州長船元重 短刀(鎌倉)    E兼元 短刀(兼元二代 孫六 室町) 
          F越前国下坂貞次(康継一門)   G丹波守吉道 脇差          
          H朱銘当麻 刀(重要刀剣 糸巻き太刀拵入り)                
          I無銘 手掻短刀(鎌倉期か)                           
          J伝畠田真守 脇差(重要刀剣 鞘書に、相州山内助真とあり)


 沢山ありすぎて全部を説明するには大変ですし、私に、その力量もありませんので、本日のサプライズ刀として、代表で、J伝畠田真守 脇差(重要刀剣 鞘書に、相州山内助真とあり)のことを書かせて頂きます。もちろん、他の刀も名品ばかりであったことは、言うまでもありません。以下は、重要刀剣図譜からのご紹介です。『脇差 無銘 伝畠田真守 長さ54.3cm 反り0.8cm 真守は守家の子と伝える。この脇差は、小板目がつんだ鍛えに、地沸が微塵につき、乱れ映り立ち、刃文は丁子乱れに蛙子丁子・互の目・尖り刃等が交じり、足・葉が盛んに入り、匂深で、匂勝ちに小沸がつくなど、鎌倉後期の備前物の中でも、とりわけ蛙子丁子を交えて、焼きに高低が看て取れ、華やかに乱れる点などから、畠田真守の特色が窺い知られ、所伝は正に妥当である。地刃共に健全で匂口が明るく冴え、脇差ながら特に見どころの多い優品である。』さて、本日の、最後に登場した名品だったのですが、私も含めて5名の人が入札鑑定し、その後に持ち主の方にご披露いただくということで、まずは、開始!!私は、福岡一文字。ある方は、畠田守家。またある方は、新刀の備前伝と見ました。結果は、畠田真守ということだったのですが、私が一文字に入札した理由は、先週見た『山鳥毛』によく似ていたことです。そうすると、大擦り上げなので、擦り上げられた下の部分は、相当に派手な刃文が入っていたのではないかと想像を逞しくさせるものでした。そして、鞘書きには『助真』。あながち、福岡一文字として入札したことも悪くなかった?と、自画自賛です。丹生さんから、『健全さと帽子が直に丸で新刀と鑑たこともわかる。よく見る人は福岡一文字と見て、さらにもっともっとよく見る人は、畠田守家に見るということでしょうね』と、講評を頂きました。この脇差は、藤代さんに差込研ぎをわざわざに依頼した逸品ということで、さすがに、皆さん一様に、感動しておられました。手にとってみる時間が一番長かったんじゃないでしょうか。さらに、刀だけでも、これだけの名品が揃っていたのに、今日の小道具も良かった。主に古いところの鉄鍔を収集していらっしゃる会員さんの名品をお持ち頂けました。

         @平田彦三(肥後)  
         A尾張 
         B赤坂(無銘で代が上がるもの) 
         C埋忠 
         D伊予松山住正阿弥 元禄八年の年紀あり
         E鉄仁(金家一門)  

 小道具は、刀以上によくわかりませんが、鉄鍔の手入れについて、質問をしました。私も、鍔を三点ほど持っていますが、素手で触ってもいいのは鉄鍔だけとしか知らず、その他、一体、どのように手入れするのが良いのか、良い機会であったので、聞いてみました。特に、表から触れることのない部分は、軽めでも赤く錆が乗っていることがあるので、その処理も含めて質問をしました。すると、鉄鍔といえども、デリケートである。ネルで軽く拭う程度でよい。拭き過ぎると、山になって出ているところの錆が落ちて、光ってしまうことがある。刷毛で掃除をすると、それだけで、刀と同じように『疵』が入ることもある。表に面しない箇所の赤錆を無理にこすって落としたり、磨いたりしないこと。これは、その鍔の味が落ちる。油を塗ったりしてはいけない。以上のことを聞いて、私は『ガ〜〜〜ん。』思いっきり、正反対のことをしておりました。触りまくってやる方が、良いと思っていました。その会員さんも、通常はまったく触れず、ごく、たま〜に触れるくらいだそうです。う〜〜ん、奥が深いです。名刀・名品のお宝の山に、時間が経つのも忘れ、気がつくと16時30分をまわっておりました。本年最後の勉強会を飾るに相応しい一日でございました。

                                   大戸井 美生