定例鑑賞会

平成18年度の締めくくりの定例鑑賞会を本部より講師 【日野原 大】講師をお招きし下記の通り開催いたしました。会員30名が参加され入札鑑定や会員出品の刀や刀装具に時間を忘れて没頭しました。今回は所有者に依頼して香川県指定・重要文化財の「与三左衛門尉祐定・大永7年紀」を特別出品していたので日野原講師に鑑定刀講評の後で解説して頂きました。

月 日 : 平成19年2月18日(日)
時 間 : PM13:00 〜 16:00
場 所 : 高松テルサ(2階和室瀬戸の間)
高松市屋島西町2366−1
                                     

                                                       鑑定刀の解説

鑑定刀 

一号刀 太刀 伝 長重  

身幅広く、大切先の豪壮な姿に、板目詰み杢交じり、金筋入り、砂流しかかり、いかにも名刀然としているが、個名はむつかしくて長重と見た人は一人もおらず、弟の長義までたどり着くのがやっとでした。

二号刀 太刀 備前長船師光(永和2年紀) 

板目に杢交じり、下半分は棒映り、上半分は乱れ映りが立ち、備前以外にはもっていけないので、「当り」「同然」が多数でていました。



三号刀 刀 備前国住長船与左衛門衛祐定作(天文3年紀) 

これは特別出品の「祐定」と姿・鍛え・刃紋がそっくりだったので外す人はいませんでした。

四号刀 脇指 肥前国近江大掾忠廣 

米糠肌に直刃なので肥前刀以外の札はありませんでした。しかし初代・二代・三代と札が割れました。身幅がやや広くガッチリとしていたので、体配を重視した人は初代か三代と見て、出来を重視した人は二代と見たようでした

五号刀 刀 南紀国重 

焼き出しがあり、互の目の連れた刃が見られ、帽子は横手の鑑定刀、上で焼き込んでおり、地刃ともに明るく冴えているので、乕徹と見た人も多かったようです。

 鑑定刀、鑑賞刀                                             鑑賞刀の鑑賞                                 

 三本入札の結果、成績は以下のとおりです。

天位  谷 茂信  大戸井 美  小林 昭等   丹生 寿男
地位  川股賢司

 なお、四者の入札の内容はまちまちですが、奇しくも同点だったので入札の早い順で成績を決めました。

                                  鑑賞刀

 1 刀 備前国住長船与左衛門衛祐定作【香川県重要文化財指定】 2 脇指 丹波守吉道  3 脇指 親国貞  4 脇指 越前国下坂貞次  5 短刀 備前長船秀景  6 短刀 会津住長道 7 短刀 濃州住兼光

  さて、特別出品の「祐定」は、大阪城築城の際に加藤清正が、石奉行として小豆島に来て、立ち去る時に世話になった庄屋に贈られた、との伝承があります。その子孫の方に会場まで持ってきて頂きました。内外ともに素晴らしく、慶長頃の作製と見られる打刀拵には縁・頭・小柄・笄・目貫・鍔のすべての金具に加藤家の家紋の「蛇の目紋」が入っています。その他の出品は八代将軍の吉宗が十代の家治公に贈られた「糸巻き太刀拵」(重要刀装)、重要刀剣「手掻」附の「糸巻き太刀拵」、某公家に伝来の「飾り太刀拵」、「金唐革包み半太刀拵」等名品、珍品が多数展示されました。しかしなんと言っても本部からの名刀と、先生の解説は素晴らしく、感謝に堪えません。日野原先生ありがとうございました。今後ともご指導をよろしくお願い申し上げます。

上段 常組糸巻柄、金唐革着鞘半太刀拵   

下段 加藤家の家紋の「蛇の目紋」の打刀

吉宗が十代の家治公に贈られた「糸巻き太刀拵」(重要刀装)
                                                                                                     

讃岐支部 丹生 寿男