当支部では台風一過の爽やかな秋晴れとなった10月28日、本部から大井 岳先生をお迎えし高松テルサにおいて平成19年度2回目の鑑賞会を開催いたしました。当日の会員参加は20名となりました。福本支部長の挨拶に続き、鑑賞会となりました。
鑑賞会での鑑定刀、鑑賞刀は下記のとおりです。
鑑定刀
一号刀 太刀 僧定秀 二号刀 刀 興正 三号刀 太刀 月山 四号刀 刀 村正 五号刀 刀 長義
鑑賞刀
一、短刀 来国光 二、短刀 景光 三、短刀 元重 四、短刀 祐定
五、短刀 秀景 六、短刀 祐包 七、短刀 靖徳
入札は三本で行われ、今回の入札鑑定成績上位者は次の各氏でした。
天位 東畑 廣義 人位 小林 昭等 地位 大土井 美生
入札鑑定後の解説では大井先生から鑑定刀の見所を各人の入札内容も織り交ぜながら、次のように解説をいただきました。
一号刀は、腰反り高く、小峰、先の反りが伏す鎌倉初期の体配。地金は、小板目詰み、処々流れ、地沸付き、ねっとりした、柔らか味を感じさせるものでした。刃文は焼き巾狭く直刃調。入札は安綱、古伯耆と見た入札もあり、時代を間違えた入札はなかったとのことでした。姿は力強く優美で一見にして、“位が高い”と感じさせてくれる名刀でした。
二号刀は寛文新刀体配の刀でした。地金は、小板目詰み、地班調の金が交じる。小のたれに尖り刃が交じる。入札では上総介兼重、法成寺正弘、安定と寛文新刀の入札に集中していました。
三号刀は綾杉肌が鮮やかな月山の太刀でした。ガッチリとした姿、映りが白け、焼き巾低く、匂い口がうるむものでした。小反りの姿に近く、南北朝末期から応永時代と鑑せられるものでした。
四号刀は元で箱刃が入り、先は直刃調と上下で焼き刃が違うものでした。表裏の刃文が揃う特徴を示していたことから、村正の入札が多かったようです。
五号刀は元先の差がなく重ねが厚くゴリッとしたものでした。板目が肌立ち、刃文はのたれ、出入りが激しく、丁子刃が目立ち、匂い口が明るい。帽子は突き上げて尖るもの。時代があるにも関わらずずっとりとした手持ちから若く感じるものでした。
なお、今回の鑑賞刀は備前の短刀を楽しもうと企画したものです。大御所の景光から靖国刀工の靖徳まで各時代が揃い、各刀のの持ち味が比較できるものとなり、楽しみました。また、会員所蔵の来国光短刀(重要刀剣)が参考として出品され備前と山城の二国の美が並ぶことになり、華やいだものとなりました。鑑賞会は午後3時過ぎ予定どおり終了し、散会ととなりました。
讃岐支部 川股 賢司