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                                                    平成201027
名園で名刀展・鑑賞会開催

当支部では丸亀市中津町の中津万象園で26日、(財)中津万象園保勝会と共催で歴史を語る・武士の美「日本刀展」を開催しました。
 本展は1026日から1124日の約1月間にわたって、京極家伝来のニッカリ青江のほか、会員所蔵の30点余の刀剣が展示されるものです。今回の支部鑑賞会は名刀展開催に併せて実施したものです。

      支部長挨拶

開催日当日はあいにくの雨模様で、会員外の来館者はいないのではと思っていましたが、名園鑑賞の団体客や親子連れが多数訪れ、うれしい誤算となりました。

鑑賞する来訪者                    こんな可愛い来訪者もいましたよ。

       

支部長をはじめ説明担当者が会員や来館者に11口の特徴や見所を丁寧に解説して回りますといつの間にか周囲に人が集まり興味深そうに見入っていました。

   説明する支部長

“これまでは刀剣といえば眺めるだけであっという間に鑑賞が終わっていたが、解説を聞きながら鑑賞するとこれまでどれも同じにしか見えていなかったものがそれぞれに違っていることがわかった。刀剣って奥が深いですね”
 “トンボがなぜ勝虫なのか、鯉がなぜ登竜門に現われるのか、教えてもらって初めて知りました。面白いですね。”という生の声に触れ、名刀展を開催してよかったと改めて感じました。

ニッカリ青江(脇差)        讃州高篠行光(剣

     

 この名刀展の見所は、京極家伝来のニッカリ青江を展示したこと、会員所蔵刀を中心に展示したこと、古来から刀匠が少ないとされてきた郷土刀を展示したことでしょうか。
 中でも郷土刀の讃州高篠(以下切)(行光)の剣は約700年前の作で著名工がいないとされている当地のものであり驚きでした。また、本刀が大楠公所持と云う事が判明し二重の驚きとなりました。
 古刀期における讃岐の刀工は古書によれば業宗系・清房系がみられるが、今展に出品の行光は銘鑑には記載が無く、いわゆる銘鑑洩れです。本作は直刃調に浅くのたれ、打のけ、喰違刃まじり、砂流し、金筋が入るなど、大和気質がよく現れています。
嘉永年間に出版された「西国三十三所名所図会」の中に、吉野山の桜本坊の什宝として「楠判官正成矢筒、剣一振」の記述があることがわかりました。郷土刀研究の好資料となるものと思われます。
 このほか、平安期の品格の高い信房、京の優美な国綱、来国光、地刃の冴えわたった貞宗等々も来館者の目を楽しませていました。
 閉館の5時近くまで来館者が絶えずこの日は200人近くが鑑賞したようで、幸先のよい開館日となりました。名園と名刀両方が一度で楽しめるおいしい企画となっていますので、“まあ、いっぺん、おいでまあせ”
                                    
讃岐支部 川股賢司