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秋の鑑賞会開催

 山々が紅葉に染まり、さわやかに晴れて、この日はとくに暖かい天候に恵まれた、11月13日(日)、当支部では本部より飯田俊久先生をお迎えし、源氏と平家の戦いで有名な地、八島の麓、高松テルサにおいて、秋の鑑賞会を開催いたしました。
初めに11月号刀剣美術誌の誌上鑑定を和気藹々で語らい(肥前二代忠広の短刀となり)午後1時より鑑賞、鑑定会に移り本部よりご持参の鑑定刀による三本入札鑑定に入りました。
今回の鑑定刀は次の五振りです。
 一号刀  太刀  古伯耆安綱
 二号刀  短刀  備洲長船兼光
 三号刀  刀   主水正藤原正清
 四号刀  短刀  保昌貞興
 五号刀  太刀  古一文字宗吉
鑑賞刀
        刀   筑前国福岡住是次(重要刀剣)
             寛文九巳酉年二月日
            讃州香西氏族武兵衛尉藤興資令造
  





 一号刀は平安末期から鎌倉初期の体配で、地は大板目が交じって大きく肌立ち、地沸がよくついて地景が目立ち、かな色も総体に黒みをおびており、焼刃は小乱れを主張に小互の目、小のたれなど交じり、足よく入り、沸厚くつき、刃の中に金筋、砂流しかかり、区上の焼落とし有り、曲型的な小伯耆の太刀でした。


 二号刀は重ね薄く反りの付いた南北朝時代の姿で地は良くつんだ板目肌に、地沸細かに厚く付くつき、地景入り、淡く棒映り立ち、焼刃は逆かかった角互の目や片落ち互の目を焼、匂い口明るく冴えて、景光か兼光で迷うところで、反りがあるため、兼光の短刀でした。

 
 三号刀
は身幅が広く峰が延び、反り浅く、新刀体配で小板目つみ、部分的に黒みのある変わり鉄が現れており、焼刃に特色あり、淺い湾れ調に小互の目、尖り刃を交え、芋蔓風の沸筋が二重、三重中に現れている薩摩新刀でした。

 
 四号刀は平造り、庵棟、身幅尋常身幅の割に重ね厚めとなり、内反りで、地は柾目肌、地沸つき、地景入り、帽子盛んに掃きかけ焼づめて、大和五派の中でも最も特色が著しい、これぞ大和伝といった短刀でした。

 
 五号刀
は一号刀と同じく、反り深く平安末期乃至鎌倉初期の細身の太刀で、地は小板目に小木目交じり、肌立ちごろとなり、、地斑映り立つ、焼刃は直刃調、小互の目交じり、帽子は直ぐに小丸、長船物か、古備前か、古一文字か、来物か、この日一番の難物でした。
入札鑑定上位者は次の各氏でした。

 天位 大塚勝士 地位 織田芳道 人位 東畑広義
入札鑑定後、飯田先生により鑑定刀の見所、特徴なども一振りずつ分かりやすく解説していただきました。懇切丁寧な説明有難うございました。今回も五振の鑑定刀は大変見応えがあり、鑑賞刀も珍しい地元の注文打で,筑前国福岡住是次を拝見でき一同十分満足して午後三時終了しました。
                                                          四国讃岐支部 東畑広義