平成24年新春刀剣鑑賞会開催
立春を過ぎ、寒暖を繰り返しながら、少しずつ春に向かっている2月26日、高松テルサに於いて支部会員21名が集い新春刀剣鑑賞会を開催致しました。
まず午前の部の初心者講座は川辺相談役から各時代の姿の説明を歴史背景を交えながら分かりやすくお話して頂きました。
続いて刀剣美術2月号 誌上鑑定の答えを意見交換する時間となり、同一流派の意見が大多数となり、最後には個銘に行き着きました。
刀談義で盛り上がった昼食の後、午後1時から本部より黒滝哲也講師をお迎えして鑑賞会となりました。
鑑定刀の内容は次のとおりです。
一号刀 太刀 備州長船元重
鎌倉末期頃の姿、
地鉄は板目に杢目、流れ肌を交え肌立つ。地班現れ乱れ映り立つ。刃文は角互の目・片落ち互の目を交え刃沸付く。
二号刀 短刀 左文字
一見すると、長さ・身幅共に鎌倉後期の姿に見えるが僅かに反りがある南北朝期の短刀の姿。鍛えは、板目に杢目を交え地沸微塵につき、白け風の映り立つ。来の影響を受けているのか、来肌に似ている感じがある。
刃文は直刃に小足入る。帽子が常の尖る帽子ではなく、先が僅に小丸にかえっている。左文字の初期作
三号刀 短刀 左安吉
身幅広く重ね薄い南北朝の姿
鍛えは小板目に流れ肌交え肌立ち、地沸細かに付き地景入り刃に沿って映り立つ。
刃文は小互の目、尖り互の目交え小足入る、帽子は乱れ込み突き上げ先尖り長く返る。
四号刀 刀 長曽祢虎徹入道(ハネトラ)
寛文新刀の姿、
鍛えは小板目細かに肌立ち地沸よくつく。
刃文は直ぐに、長めに焼き出し、互の目・耳形の互の目を交えて、大模様に乱れ、足入り小沸よくつき、匂い口明るく冴える。
五号刀 刀 長幸於摂津国作之 裏 幡州宍粟鋼鉄作之
寛文新刀の姿
鍛えは、小板目よくつみ地沸細かにつき、乱れ映り立つ。刃文は丁子に互の目尖り刃や足・葉入り匂い口締まって冴える。帽子は乱れ込み、先尖る。
三本入札の成績上位者は以下の通りです。
天位 東畑廣義 地位 丹生寿男 人位 大塚勝士
黒滝講師より一振りずつ資料交えた丁寧な説明があり、特に多々良長幸の説明の最後では、「長鉄など古代の宍粟鋼鉄(千種鉄)の産地に拘った作刀例もある。」と、たたら課長ならではのお話をして頂き、参加者全員とても勉強になり、知識を深めて散会となりました。
四国讃岐支部 小林昭等