秋季会員所蔵品の鑑賞会

 当支部では本部が公益財団法人となった機会をとらえ、初めての試みとして会員所蔵刀及び小道具の鑑賞会を1118高松テルサで開催しました。出席者は十一名とこじんまりとしていましたが、持参された刀剣は十口、小道具は大小拵、半太刀拵と充実していました。鑑賞会に先立ち、福本支部長が挨拶し、新規会員の増強を図る意味からこれまでややもすると鑑定主体であった鑑賞会から初心者も楽しめるよう鑑賞を主眼に置いた会にしていきたいとの説明があった。その後、初心者講座、誌上鑑定の検討を行い、昼食の懇談後、所蔵刀、小道具の鑑賞会を開催した。

なお、今回は会員所蔵刀等の鑑賞会であったため、鑑定は行わず、鑑賞終了後、所蔵者による解説を行うこととしました。

鑑賞刀等の説明は次のとおりです。

一号刀 短刀 則重



名刀然とした短刀 鎌倉期の定寸筍反りの短刀 千変万化の沸えの働きが著しい

二号刀  当麻



 大磨上の刀 當麻の朱書、寺尾氏の斬付銘有 沸えが強く大和物の中で当麻と鑑される。

三号刀 薙刀 肥前国住人忠吉作


初代忠吉作の薙刀 鍛え肌が梨地肌になる前の作 鏨枕の立つ力強い銘が残っている。

四号刀 刀 肥前国住近江大掾藤原忠廣


 梨地肌、中直刃の肥前刀の特徴が顕著に表われた刀

五号刀  靖興




 二尺一寸五分の刀 長光、真長を目指した作で軍用刀として鍛えられる 
靖興は昭和の動乱期、将兵の命が託された刀を鍛えた靖国鍛冶の一人 昭和二十年当時琴平に来訪していたと伝えられる。

六号刀 脇指 兼道

 

香川の地において、刀剣蒐集で有名な揚氏旧蔵の脇指 尖り刃が交り、関の兼道の特徴が表れている一刀

七号刀  加賀守藤原包高




 香川県の郷土刀 健全な作

八号刀 脇指 加賀守藤原包高





 七号刀と同作者、同様の出来作

九号刀 脇指 豊州高田住藤原統行



 姿の良い豊後刀 子板目肌がよく詰み、肥前刀にみえる作

十号刀  吉田兼吉





現代刀匠の作 直刃に足入る真面目な刀 中心の鑢目は鷹の羽で美濃系統の刀匠か。

小道具等


大小拵

仙台伊達家伝来 金物は萩の一作 鍔は埋忠

二 半太刀拵え

 幕末期に制作された武張った拵え 金物、鍔も大振りで動物の彫も深い

和気藹藹のうち鑑賞会は終了し散会となりました。

                                                               四国讃岐支部 川股賢司