日刀保たたら研究会開催

                                    四国讃岐支部会員 橋本幸律

 当支部では、2526日間に渡り、福本支部長以下7名が、島根県安来市で操業している日刀保たたらを訪れ、研究会を開催しました。
25日は、まず、同市の和鋼博物館を訪れました。和鋼博物館では、鉄穴流し、床釣り(地下構造)の構築工程、高殿等の精密な模型、天秤鞴、玉鋼、様々な道具等が展示されており、高岩学芸員がこれらについて分かり易く解説してくださいました。これらの展示品、解説に触れ、多くの知恵と苦労から、玉鋼が産まれるということを改めて認識しました。和鋼博物館に続き、美しい日本庭園で知られる足立美術館を訪れ、日刀保たたらへ向かいました。
 日刀保たたらに入ると、まず目に飛び込んだのが高く炎を吹き上げる大きな炉で、同時に現場のぴりぴりした緊張感が伝わり、一瞬、身体が固まりました。

 

木原村下の厳しい顔、作業員の砂鉄を炉に入れる姿、ゆっくりとノロが流れ出る様子を見ていると、私は人間が何か巨大な生き物に挑んでいるように感じました。

 26日早朝、いよいよ炉を崩し鉧が姿を現わす段階です。外は雪が降り積もっている中、建物内は立っているだけでも、全身が熱くなり汗をかく程で、その中を作業員の方々は大きな掛け声で全身に力を込めて炉を崩します。

たたら操業は、常に危険が伴う命がけの作業です。この操業により姿を現わす真赤な大きな鉧からは、言葉にできない程のエネルギーが発散されており心から感動させられました。自然と人間とが造り出す鉄が昔から神聖視されていた理由を体感できるとても貴重な経験でした。

たたらの鉧出し後、出雲大社参拝、松江城で刀剣鑑賞し、香川への帰路に着きました。今回、支部行事のたたら研究会に参加し、このような貴重な経験をすることができました。

本当にありがとうございました。