新年初めての鑑賞会を17(日)高松テルサ於て、開催を致しました。
午前部から、初心者講座では、三谷副支部長から柄巻きの柄下地に使われる鮫皮についての講義でした。
実物の鮫革(エイ)を用いて「鮫の種類」 「なぜ鮫革が古来より使われ続けているのか」、「どのような鮫革が高価なのか」を職方の目線でお話をして頂きました。
続いて刀剣美術誌上鑑定の考察。
ヒントに書かれている作風から同時代の数人の刀工に、独特の鑢目から特定の刀工に意見がまとまりました。
午後からは、兵庫県支部小泉顧問をお迎えして鑑賞会となりました。

鑑賞刀の内容は次のとおりです。

一号刀  脇差  井上真改  菊紋延宝2年2月日 1尺4寸6分






肉厚で元先の幅差を感じさせないしっかりとした姿に、明るく精美に詰んだ小板目肌に元から先まで厚い沸が、更に荒沸もよくつき大きく湾れる。
帽子も二重刃風に強い沸つく覇気を感じる作品。

二号刀  脇差  備州長船勝光・宗光  主黒岩信安 長享3年2月吉日 1尺8寸1分




室町後期の先反りのついた片手打ちの姿。
板目肌に杢交じり、乱れ映りが鮮明に見える。
腰の開いた互の目に複式互の目などが交じり匂口明るくよく冴えた刀。
とても良く出来た刀だったので同じ備前でも時代が上がる札がありました。

三号刀  刀  無銘 青江(南北朝期)大磨上 2尺2寸4分
 





大磨り上げの為反り浅い。板目に杢目を交えて肌立つ。直刃に逆がかった丁子・ねずみ足が交じり、葉入り、匂口締まる。
にっかり青江と同時代の作品。

四号刀  太刀  景光 2尺4寸6分






身幅細く中鋒で鎌倉末期の姿。
小板目肌よく詰んで乱れ映り立つ。直刃の中に逆丁子片落ち互の目などを交え、匂口締まる。
三作帽子で、景光・長光・近景に札が集中しました。

五号刀 刀  無銘 左 大磨上 2尺2寸1分






身幅が細めで中鋒伸びごころ、小板目がよく詰んで地景入る。
小湾れに小互の目を交えて明るい沸がよくつく。
鎬も高めで鎬幅もあり、札がいろいろな所に散らばった難問の刀でした。


三本入札の成績上位者は以下の通りです。

天位  川股賢司  地位  大塚勝士  人位  丹生寿男  東畑廣義


最後には「折り紙付き」と言う言葉の元になった、本阿弥の折り紙を広げて、印の位置や決まり事など詳細に教えて頂きました。
小泉先生には初回の交流鑑賞会以来、数多くの名刀を御持参頂き、またユーモアを交えた話術で、勉強になるお話を、笑いも交えながら、たくさん聞く事ができ、とても感謝しております。ありがとうございました。
今回の参加者は20名でした
                             四国讃岐支部 小林昭等