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恒例初春美術刀剣鑑賞会

                                                                         四国讃岐支部 東畑広義

この時期にしては、暖かく最高気温14度となって、よく晴れた15日()当支部では本部より井本悠紀講師をお迎えし、屋島の麓、高松テルサにおいて理事会、鑑賞会を開催致しました。理事会では三谷副支部長より平成27年度の事業計画について提案があり,本部講師派遣による鑑賞会を2回、支部独自で2回実施されることなどが決定されました。
 次に2月号「刀剣美術」の誌上鑑定刀を和気靄々で語らい、ヒントに書かれている特徴の刀工を数人ピックアップ、棟の形状、茎の前銘、などから特定の刀工に意見がまとまりました。

  今回の初心者講座は、金工師、故坂井政市の鐔の制作ビデオ鑑賞となりました。
昼食を済ませ、午後一時から昨年の4月から10ヶ月ぶりに、本部よりご持参の鑑定刀による三本入札に入りました。鑑定刀は下記のとおりです。














一号刀  短刀 宇多国房
鎌倉末期及至南北朝初期風体配で、平造、三ッ棟、小板目よくつみ、地沸厚く敷いた鍛えに、広直刃調浅く湾れごころ帯び、小互の目が交じり、刃縁に湯走り現れ、足、葉入り、匂深く、沸よくつき、明るく冴え、金筋、砂流しかかるなど、一見して来派に酷以した出来口で、重要美術品に認定されている宇多派の短刀。来派との違いは来肌だが認められず沸映りもなく、フクラから帽子にかけて光が強く、一粒一粒がハッキリと見える、円らかな沸が目立っている事です。





二号刀 刀 無銘長義
二号刀は踏ん張りが抜けた南北朝時代の大磨上げ姿で、鎬造、庵棟、地鉄は板目に杢を交えて、乱れ映りが鮮明に現れ、刃文も湾れを基調にに、小互の目、小丁子等を交え焼きに高低あり、足、葉頻に入り、匂い勝ちに小沸つき、処どころ飛焼き現れ、金筋、砂流しかかり、匂い口明るい相伝備前刀。




三号刀 刀 初代出羽守行広
三号刀は身幅広め、元先の幅差あまり開かず、反り輪反り風に高くつき、中鋒の新刀体配で、鎬造、庵棟、地鉄は小板目つむも、肌目が立ち、地沸つき、地景入り、黒みがかり、刃文は頭の丸い丁子や互の目、小湾れ、矢筈風の刃やチュウリッブ状の飛焼が交じり、足、葉入り、匂深く、沸よくつき、金筋、砂流しかかり、帽子はフクラに平行に直ぐに小丸に返る傍肥前刀。






四号刀 刀 武蔵大掾藤原是一
四号刀は元先の幅差開き、深い反り具合ながらも腰反りの力強さが足りず、鎌倉最期の太刀姿とは異なり、板目、総体に強く流れて殆ど柾がかり、地沸細かにつき、淡く乱れ風映り立ち、刃は丁子、互の目、尖り刃など交え小模様となって処々やや逆がかる態を見せた新刀期の備前伝、石堂派の刀。





五号刀 刀 無銘青江

五号刀は身幅広く鋒が一段と延びて大鋒となった豪壮な南北朝期の姿で、鎬造、三ッ棟、板目に杢交じり、肌目細かに肌立ち地沸微塵に厚くつき、地景入り、鎬方には乱れ映り、刃方には断続的に筋状の映り(段映り)立ち中直刃に小互の目ごろの刃交じり処々逆足となり、匂い勝ちに小沸つく備中青江刀。

 入札鑑定成績上位者は次の各氏です。
天位 東畑広義
地位 小林昭等
人位 丹生寿男、橋本幸律

 入札鑑定後、井本悠紀講師により鑑定刀の見所、特徴などを一振りずつ分かりやすく解説していただきました。懇切丁寧なご説明有難うございました、又今後とも宜しくご指導お願い申し上げます。今回も持参された五振の鑑定刀は、それぞれ制作された時代、流派の特徴、刀工の個性などが良く現れており、今後の鑑定には大いに役立てると喜んでいます。会員一同十分満足して、午後三時半終了致しました。