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             2月14日初春美術刀剣鑑賞会を公益財団法人日本美術刀剣保存協会、学芸部課長、石井 彰をお迎えし高松テルサ三階視聴覚会議室で開催されました。午前11時より理事会を開き28年度総会の事業計画等の審議、続いて誌上鑑定の考察を小林理事がおこない昼食後鑑賞会に入りました、鑑賞会に先立ち前回高得点を獲得された方、天位賞、東畑廣義、地位、大塚勝士、人位、小林昭等、川股賢司、表彰され、続いて橋本幸律、が刀剣研磨、外装技術発表会で柄巻の部門で会長賞(特賞)を獲得されましたので、四国讃岐支部、福本支部長より表彰状が受与されました。鑑賞会では新会員、体験参加者、別途鑑賞台で、お刀の鑑賞の仕方を実演しながら川辺相談役が説明をしました、鑑賞会は下記のとおりです。



             誌上鑑定教室 講師 小林昭等              お刀の鑑賞の仕方 講師 川辺相談役

鑑定刀は次の五振りでした。

一号刀 太刀 古伯耆安綱

  

一号刀は身幅尋常、元先の幅差やや開き、腰反り高く、先へ伏さりごころとなり小鋒に結んでいる姿から、時代は平安末期から鎌倉初期の太刀姿で、地鉄は大板目の杢目が交じり、総体に肌立ち、地斑現れ、地沸つき、地景入り、鉄色黒みがかり、地斑映り立つ、刃は元を焼き落とし、小乱れに小互の目を交じえ、刃縁にほつれ、湯走りなどかかり、匂い口沈みごろに沸厚くつき、砂流し・金筋かかる、古伯耆の太刀。

二号刀 刀  肥前国住人伊予掾源宗次


 二号刀は身幅広く、元先の幅差がほとんど目立たず、重ねが厚く、反りやや浅くつき、中鋒が延びごころとなる体配から、時代は慶長新刀期で、地鉄は板目を主として杢や流れごころの肌を交え、地景がよく入り、地斑の交じる強い鍛え、刃文は焼きが高く、互の目に小のたれ、尖り刃などを交え、焼きに高低を見せて華やかとなり、金筋や砂流しがかかり飛焼や棟焼もあり、沸がよくつく、相州伝的な作柄を得意とした傍肥前刀。

三号刀 短刀 応永信国

 



三号刀は身幅の割に大きく寸法が延び、重ねが一際厚い平造の脇差姿は応永期で、地鉄は小板目に杢まじり、刃寄りに流れ肌入り、地沸微塵に厚くつき、地景細かに入る。刃は互の目乱れ主調に、小互の目・小のたれ・尖りごころの刃など交り、中に互の目を二つ連れて矢筈風に大きく乱れ、足、葉入り、沸よくつき、細かに砂流しかかり、湯走りを交え、棟を盛んに焼く、彫物もあり、表裏上部に刀樋を丸止めとし、その中に梵字の陰刻を二つ重ね、その下に長梵字、表は更に蓮台を重ね彫りした京物。

四号刀 刀  左行秀

 


四号刀は元先の幅差が少なく大鋒で反り浅い、いかにも新々刀然とした体配で、地鉄は小板目つみ、流れごろの肌交じり、地沸細かにつき、地景入る。刃は互の目に丁子刃風の刃・角がかった刃・尖りごころの刃交じり、足長くよく入り、匂い深く、小沸よくつき、細かな砂流し頻りにかかり、金筋入り、匂口明るく冴える、互の目出来の数少ない左行秀刀。

五号刀 刀  島田広助

 


五号刀は身幅広く元先の幅差があまり開かず、踏ん張りごろがある反りの深い姿で、先反りつき、中鋒に結んだ体配は室町後期の打刀姿。地鉄は板目に杢、処々流れ肌交じり、細かく肌立ちごろとなり、地沸つき、地景細かに入る。刃は焼幅広く、浅いのたれ調に互の目・丁子・尖りごころの刃・小互の目など交じり、足繁く入り、葉を交え、小沸よくつき、金筋・砂流しかり、表裏に二筋樋を丸止めの彫物がある島田物。