初心者講座及び勉強会

最高気温が32度と真夏日になった9月16日)、当支部では平成30年度3回目となる初心者講座及び勉強会を()大西・アオイ記念館にて開催致しました。

今回も案内は午後1時30分からで、定刻より早くこられた会員さんの手助けで設営を行い、初に全員で9月号「刀剣美術」の誌上鑑定刀を考察、ヒントに書かれている姿、地鉄、刃文、茎の特徴などから特定の刀工に意見が一致した後、二箇所に分かれて、今年入会された3名の方は、こちらで準備している資料の前回の続きを村中支部長より、刃文の種類、反りの種類、刃の働き、地鉄の働き、五ヶ伝の勉強を、その他の参加者は刀剣図譜及び刃文の種類図から刀工(小反り・応永備前・末備前)の勉強を1時間あまり実施しました。        

次に、前回同様に鑑定刀1本に刀工4名を提示し、選択して入札する方法を支部長及び理事の準備された刀で1本入札を実施。皆さん勉強してきた資料等、何度も見直しながら真剣に取り組んで頂いたと思います。    

鑑定刀は次の五振りです。

一号刀 (朱書)(重要刀剣)

二号刀 脇指 井上和泉守国貞

三号刀 短刀 備州長船清光

四号刀 脇差 一竿子忠綱

 五号刀 刀 肥前国住近江大掾藤原忠広(重要刀剣)

入札後、特徴・見所等を解説し、その内容をまとめた資料を全員に渡し、ゆっくり刀を見ながら確認して頂きました。

一号刀は鎬幅広く、鎬筋高い造り込みに、地鉄の流れ肌・柾目肌、刃の沸出来に食い違い刃、匂い口明るく、焼詰めた帽子。

二号刀は反り浅く、元先の幅差が有り、中鋒つまる姿の寛文新刀。地鉄は小板目肌に地景入る、刃は沸出来、匂い口明るく、沸深く荒沸ついて、沸筋・二重刃・刃縁の沸が地にこぼれ、焼きだしに長い金筋がかかる。
 三号刀は重ね厚くフクラ枯れる姿、板目に杢目まじり、よく詰む、直刃やや広めに小互の目まじりの刃文。

 四号刀は先身幅が元身幅に比して落ちておらず反りつく元禄姿。地鉄は小板目肌つみ地沸微塵につき、地景よく入り、刃は元に大阪焼きだし、地刃を跨ぎながら断続的に長く一筋の金線、湾れ基調に互の目・互の目丁子交じり、しきりに足入り、匂口深めに沸よくつく。
 五号刀は身幅広く元先の幅差あまり開かず、反り六分とやや高い姿、地鉄は小板目よくつみ、地沸微塵に厚くつき、地景細かに入る小糠肌、刃文は沸づきのきっはりと明瞭な帯状の直刃、帽子はフクラに沿って平行に小丸に返る

皆さんからは色々の質問等を毎回頂き、熱心さが伝わってきて取り組む姿勢には感心させられています。今後も興味を持って頂ける様な勉強会を行いたいと思います。参加人員は13名で午後5時過ぎ終了しました。

 尚、二年前に入会された女性に一文を頂いていますのでご紹介致します。

吉野加寿子

 私が讃岐支部に入るきっかけとなったのは、展示会で解説をされていた理事の方に声をかけて頂き鑑賞会参加のお誘いでした。それより以前にも展示会には何度か行っていたのですが、刀の解説文は専門用語が多すぎて、さっぱりわからないというレベルの本当に初心者でした。初めて参加した鑑賞会で刀の持ち方、鑑賞の仕方を教えて頂き、ガラス越しではなく自分の手で持ち間近で見ることが出来たのには感動し、同時に始めて持つ刀は重く感じられ、貴重な刀に何か起こってはと大変緊張しました。当支部では鑑賞会の前にビデオやテキストによる初心者講座、さらには初心者講座とは別に勉強会も開いて頂いています。鑑賞会では見る時間が限られていますが、勉強会では解説されながら刀をじっくり見る事ができるので初心者にはとても有難いです。目下の目標として入札で時代と五ヶ伝を当てられるよう、勉強していきたいと思います。

四国讃岐支部  東畑廣義