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秋の鑑賞会開催

天候に恵まれた秋晴れの10月21日)、当支部では午前10時より理事会、午前11時より初心者講座、午後からは本部より石井 彰講師をお迎えし、()大西・アオイ記念館にて鑑賞会を開催致しました。理事会では、来年度開催予定の中国・四国ブロック大会について、開催場所・時間等を再度協議し、大筋で決定しました。
 次に、今年度四回目となる初心者講座は、事務局で用意した刀剣図譜及び刃文の種類図から京物(粟田口・来派・長谷部派・信国)の勉強と、10月号「刀剣美術」の誌上鑑定刀の考察を十二時過ぎまで実施。 昼食を済ませ、協会本部よりご持参の五振りの鑑定刀による三本入札に入りました。

入札では、初心者講座を受講している人達が、手持ちの資料等を確認しながら何度も鑑定刀を手に取って鑑賞し、熱心さが伝わってきて頼もしく思いました。

鑑定刀は次の五振りです。

一号刀 刀  関 兼元(孫六)

 一号刀は鎬造、庵棟、身幅やや広く、元先の幅差目立たず、寸がやや詰まり、鎬地を削いで鎬を高く造り込み、平肉が枯れ、先反りが強い所から、時代は室町後期。地鉄は板目肌、所々強く流れ、肌立ち、地沸つき、やや白ける。刃文は焼き低く、尖りごころの互の目に尖り刃・小互の目・小のたれなど交じり、沸つく関の孫六。

二号刀 刀  津田越前守助広

 二号刀は身幅広く元先の幅さ開き、重ねやや厚く反り浅く、中鋒の延びごころの寛文新刀姿で、地鉄は板目よくつみ、地沸微塵につき、地景細かによく入り、かね明るく冴える。刃文は直ぐに短く焼きだし、浅いのたれ大互の目・丁子を交えた濤欄乱れ、匂い深、小沸厚くつき、金筋・砂流し細かにかかり、玉焼が入り、匂口明るく冴える助広刀。

三号刀 短刀 信国(応永)

 三号刀は身幅の割に大きく寸法が延び、重ねが一際厚い平造の脇差姿は応永期で、地鉄は小板目に杢まじり、刃寄りに流れ肌入り、地沸微塵に厚くつき、地景細かに入る。刃文は互の目乱れ主調に、小互の目・小のたれ・尖りごころの刃など交り、中に互の目を二つ連れて矢筈風に大きく乱れ、足、葉入り、沸よくつき、細かに砂流しかかり、湯走りを交え、棟を盛んに焼く、彫物もあり、表裏上部に刀樋を丸止めとし、その中に梵字の陰刻を二つ重ね、その下に長梵字、表は更に蓮台を重ね彫りした京物。

四号刀 刀  武蔵大掾藤原是一

 四号刀は鎬造、庵棟、身幅やや広く、元先の幅さ開き、反りやや高く、重ね尋常、中鋒つまりごころ。地鉄は板目肌総体に強く流れ、地沸つき、地景細かによく入り、乱れ映り立ち、鎬地柾がかり、刃文は丁子に互の目・尖り刃・袋丁子風の刃などまじり、逆がかる気味があり、匂い主張に小沸つき、足、葉入り、金筋・砂流し細かにかかる江戸石堂刀。

五号刀 刀  備前国長船勝光

 五号刀は鎬造、庵棟、常寸ながら先反りがつき、元先の幅差もさままで目立たず、鎬地を幾分削いで鎬筋がやや高く、帽子も刀身の焼幅に比しては焼が深いことから、時代は室町中期以降の打刀。地鉄は小板肌よくつみ、地沸細かにつき、直状の映りが立って、刃文は中直刃を基調に小互の目・角張る刃交じり、足入り、匂勝ちに小沸つき、細かな砂流しかかり、金筋入り、表に倶利伽羅彫りがある末備前刀。

 成績上位者は次の各氏でした。天位  大塚勝士 地位  織田芳道 人位  菅 五男悝

入札鑑定後、石井 彰講師により鑑定刀の時代の捕え所、刃文の形状や出来、地鉄の特徴などわかりやすく解説して頂き、今回は茎もよく見てほしいと(茎の)詳しい説明もあり、茎の開放後の鑑賞がいつもより長い時間をついやしたように思います。親切丁寧な解説のお礼申し上げると共に今後とも宜しくご指導お願い申し上げます。

参加者一同楽しい時間を過し、午後三時半散会致しました。                            四国讃岐支部 東畑廣義