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岡山県支部、交流鑑賞会の開催 

 今日から大寒に入りましたが例年より暖かく、あいにくの雨模様となった1月20日)、当支部では岡山県支部より小池 哲支部長をお迎えし、()大西・アオイ記念財団会館にて交流鑑賞会を開催致しました。

最初に午前11時から、今回の初心者講座は、地刃の働きを顕著に現し、地景や金筋、湯走りなどの働きと、地刃の明るさで伝法を確立した相州伝の勉強と、1月号「刀剣美術」の誌上鑑定刀考察を12時まで実施。         

食事休憩後、午後1時より前回の三星の賞品を授与し、村中支部長の挨拶と小池支部長ご持参のお刀のヒントをいただき、参加者四国讃岐支部16名、岡山県支部9名での三本入札に入りました。

鑑定刀は次の五振りです。

一号刀 刀    無銘 雲重          重要刀剣

二号刀 太刀   古三原 正広         重要刀剣

三号刀 脇差   備州長船重綱

四号刀 両刃短刀 備州長船左衛門七郎藤原春光

五号刀 刀    肥後守法城寺橘吉次

一号刀は鎬造、庵棟、身幅広く反り浅く、中鋒延びごころのある姿から時代は南北朝期で、地鉄は板目に杢交じり、肌立って淡く映り立つ。刃文は中直刃調に小丁子足・小足よく入り、処々ほつれかかり、打のけ交じり小沸ついて匂口締りごころとなる宇甘派の刀。

 二号刀は鎬造、庵棟、身幅広め、元先に幅差つき、鎬高く、重ね厚く、そり高く、踏ん張りがある南北朝末期乃至室町初期の姿に、地鉄は板目に杢・流れ肌交じり、やや肌立ち、白け映り立つ。刃文は直刃、小沸よくつき、刃縁細かにほつれ、金筋・砂流しかかり、匂口沈みごころの古三原刀。

 三号刀は平造、庵棟、身幅尋常、身幅の割りに大きく寸延び、上半に先反りつく、応永時代の姿で、地鉄は板目に杢目交じり、総体に肌立ち、直ぐ映り立ち、表裏二筋樋を区のやや上で丸止め。刃文は小互の目に小丁子交じりに足よく入り匂勝ちに小沸つく備前刀。 

 四号刀は室町時代末期、戦国時代特有の両刃造りの短刀で、重ね厚く、反りやや付き、地鉄は小板目が細かによくつみ、地沸つく。刃文は小互の目乱れ、刃縁締まりごころに沸がつき、足・葉入って、砂流しかかり、飛焼きを交えて皆焼風となった派手なできの末備前刀。  

 五号刀は鎬造、庵棟、身幅広く、重ね厚く、反り浅く、元先の幅差が有り、中鋒の寛文新刀姿で、地鉄は小板目肌よくつみ、地沸つく。刃文は焼き高めに、広直刃基調に互の目・数珠刃風乱れに、足入り、匂口深く沸厚くつき、匂口明るい法城寺派の江戸新刀。

 成績上位者は次の各氏でした。

天位  橋本幸律

地位  大塚勝士

人位  丹生寿男

入札鑑定後、小池支部長より鑑定刀の見所、特徴などを分かりやすく解説していただき、親切丁寧なご説明のお礼申し上げます。今回、一号刀と二号刀は難問で、私も宇甘派の刀は過去二回入札して、二回とも当ててきたのですが雲重はわかりませんでした。こちらでは拝見する事のないような珍しいお刀を見る事が出来勉強にもなり、有意義な一日を過ごすことが出来たと思います。又、観賞用に研ぎ上げた、こがたなを五本お持ちいただき、最近入会された方は特に熱心に見入っていました。
岡山県支部の方々には足元の悪い中、来県いただき有難うございました。

四国讃岐支部 東畑廣義