初心者講座及び勉強会



 小春日和の天候に恵まれた1110日()、当支部では今年度4回目となる初心者講座及び勉強会を、()大西・アオイ記念館にて開催致しました。

午後1時半より10月号「刀剣美術」の誌上鑑定刀を考察、続いて五ヶ伝以外で綾杉肌が特徴の奥州鍛治、地鉄がネットリとした「九州鉄」で特色のある古九州物と、江戸期において華やかな丁子乱れ刃と、地鉄に映りを立て備前伝を復活させた石堂派の勉強を1時間あまり行いました。

今回は入会希望者男女各一名の体験参加があり、丹生理事が日本刀の取り扱い講習等を別の場所で実施。

次に、前回同様に鑑定刀1本に刀工3名を提示し、選択して入札する方法を増田副支部長及び理事の準備された刀で1本入札に入りました。    



 鑑定刀は次の五振りです。

一号刀 脇差 備州長船住横山祐包

二号刀 脇差 和泉守藤原国貞      重要刀剣

三号刀 刀  関兼元(後代)

四号刀 刀  備中守橘康広

五号刀 刀  肥前国住近江大掾藤原忠広


     鑑賞刀

     刀  豊州高田住藤原統行

     脇差 兼定


 一号刀は身幅尋常で鎬筋高く、反りころあいで、鎬幅少し狭い造り込みに、地鉄は小板目が無地風につみ、刃文は匂い出来の丁子乱れ、匂いの締まった新々刀。

二号刀は身幅広め、重ね厚く、地鉄は板目肌よくつみ、地沸つく。刃文は、元を直に焼出し、のたれに互の目、小沸つく大阪新刀親国貞。

三号刀は鎬造、庵棟、身幅やや広め、重ね厚く、反り浅く中鋒。地鉄は板目肌に流れ交じり、地沸細かにつく。刃文は三本杉刃、尖り互の目で刃縁の小沸締まる典型的な関の一刀。

四号刀は反り浅く重ねがつき、ガッチリとした寛文新刀姿。地鉄、小板目肌、地沸がこ

まかくつく、刃文は刃巾広く、焼きの高いところで乱れる丁子乱れ、こまかく乱れて、小足、葉入り、匂い口締まり、僅かに小沸つく紀州石堂刀。

五号刀は反り程よくつく姿に小板目つむ小糠肌で、刃は小沸よくつき匂い深く帯状にな

り、匂い口明るく、帽子はフクラに沿って平行に小丸に返る肥前刀。



 入札後、丹生理事より特徴・見所等を解説していただき、その内容をまとめた資料を全員に渡し、ゆっくり刀を見ながら確認して頂きました。入札結果は一の札で3本以上当たりを取っており、入会されて4年目となる女性の皆さんが、これまで真剣に取り組んできた勉強の成果が出て来たように思います。

初めての試みで鍛え肌の違う、古刀の基本となる板目、新刀の小板目、小板目が詰んでの小糠肌、新々刀の無地肌を大きめのル-ペで見て頂きましたが、興味深く熱心に見ておられました。参加人員は15名で午後5時前終了しました。

四国讃岐支部 東畑廣義