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 柄木地をもとに、鮫着せ柄巻をするため更に形を下の図ように整える。頭や縁金具を合わせ、更に鮫革や糸の太さ、巻き数など、仕上がりを想定して厚さを考え肉取りし月形、蝉形を削り込む、このとき、柄形【つかなり】は鞘と柄を合わせた全体の(刀芯)反りのバランスを考えて柄形を作る。

 
柄木地各部
 
         
                 ※柄木地(柄巻の行程で一番だいじな基礎のところです。)

鵐目孔【シトトメあな】  頭を止る孔(形がシトドメの目に似ているからいう。)
月形(留下)        柄頭の下にあり糸が止のとこで月形の名があります。一名留下とも云います。
蝉形【せみかた】     蝉形は柄の柄表にあり(太刀の場合は佩表になります。)柄木地を削る場合には蝉形 に
               して削ります。
刃方、棟方、       柄形(つかなり)には献上風(芋柄)、並反(刃方がやや山形になっている。)刃一(刃方一
               文字)、諸立鼓等があります。
目貫用孔、        目貫が動かぬよう目貫の根が入る孔
目釘孔、          茎の孔を止る孔

        
                      
鮫革着せ
 鮫皮(エイ革)を使用するのは柄木の補強、又柄糸のすべり留めのため大事な役目をします。鮫は南シナ海南洋諸島、及び紅海、などで産する【トリコン・セフェン】(Trygon/sephen)というエイの革で(鮫革=エイ革)、鮫類の皮ではい、鮫皮は元来焦げ茶色をしておりますので、これを白く晒します。
 白く晒した鮫皮をささら【細い竹を束にしたもの】又はワイヤブラシで粒と粒の間にある筋を取り去り、取り切れないものは針を用い、一本一本まめに取り除きます。数日かけて袋に入れたイボタで叩き、うずくり【カルカヤの根っこを束ねたもの】で磨き鮫皮の艶を出します.鮫皮を柄に着せるには、裏面の処理が重要で鮫皮の厚みが違うので着せたときに凸凹のないように鋤包丁、砥石を使って平らにする作業があります。このようにして加工された鮫皮は図のように「一の切」、「二の切」と切り分けて柄に張ります。しかし現在では鮫は親粒のある「一の切」しか使用しません。柄の大きさに切った鮫皮は接着剤を付けず仮着せして具合をみます、柄に何度も仮着せをし柄の凸凹に良く馴染ませてから張ります。鮫皮は湿度が高いと延び低いと縮む性格があるので鮫張りには雨降りとか梅雨時期にはさけて張ります。
                       
            エイ(スティングレイ)
                                              
短冊着 (たんざくぎせ)          柄の裏表の面を短冊形にくり貫いてそこえ鮫皮を据え込む方法
腹合着(はらあわせぎせ)        柄下地を包んだ鮫皮を柄裏の中央で付き合わせる方法
前垂着(まえだれぎせ)         柄下地を鮫皮で包み合わせ目の端を刃方で重ねて着せる方法
 
                鮫革を短冊着せした柄


                 柄に鮫皮を腹合わせに着せた指し裏側


                 柄に鮫革を前垂れ着せした指し裏側








                   親粒が頭側に着せた指し表側柄