7月7日(日)、梅雨時期でありながら晴天が続き猛暑中、大西・アオイ記念館で鑑賞会が行われました。
午前中、初心者講座として「日本刀入門」の資料をもとに支部会員の丹生寿男氏が刀の魅力、 美術品・文化財としての価値について話された後、刀の姿の変遷、鍛え肌の違い、様々な刃文の特徴、外装など刀の基礎を学びました。 続いて、刀剣美術6月号の誌上鑑定の解説をして頂きました。 ヒントに書かれている文言の解説から、その刀工ならではの特徴などを詳しく教えていただきました。
午後からは、岡山県支部の方々と鑑賞会を行いました。刀は5振りの鑑定等と1振りの鑑賞刀を用意してくださいました。
最初に小池哲岡山県支部長より鑑定に当たっての注意点を聞いた後、鑑賞会を行いました。
1号刀は大磨上無銘の重要刀剣の脇差。 切っ先の橫手自体が五㎜程下がっていて南北朝時代の刀のように見えるが鎌倉の中期のもので、 丁子の刃で賑やかに焼いているので一文字かと思わせる刀でした。 在銘でこのように丁子を焼いた作品もあり、一度このようなものを見たことがなければ1の札で当てることは難しいというものでした。
2号刀は延宝の折り紙が付いている重要刀剣。 地鉄がよくつんでいて乱れ映りが見られる。また、表裏三作帽子である。刃文を見ると直刃調でよく足が入っており葉も入り匂い口が締まって冴えて明るい刃をしている作品でした。
3号刀は末備前の特別保存刀剣。 直刃調で足が入っていてその中に葉が転々と島のように浮いている。 この刀工の極めには帽子がきれいに返るところで、まとまりがあって映りがあってよく鍛えられているところが見られる一振りでした。 また、いい刀は茎の仕立てもよく、数打ちか入念に作ったものかをよくチェックした方が良いということでした。
4号刀の肥前の特別保存刀剣。 案外苦戦されたようで、肥前刀ならではの直刃で姿が優しい反りのあるイメージがありますが、 この刀匠はかなり作刀期間が長いので寛文新刀のような作品もあるそうです。 反りのない肥前刀らしからぬ姿であったことも難しかったようで、作刀期間が長い分このような刀もあることを教えくださいました。
5号刀は2尺5寸の長い刀で鍛え肌も分からないくらいにきれいに鍛えられていて時代的には新々刀です。上に行ったり下に行ったりしている独特の丁子を焼くことで有名なので、丁子の入り方を見て知っておくと良いということで勉強になりました。
最後の鑑賞刀は丁子刃で乱れ映りが鮮明に立っている作品でした。
今回成績上位者は次の方です。
天位 橋本幸律氏
地位 大塚勝士氏
人位 東畑廣義氏
四国讃岐支部 吉田 良三